体重減少

体重減少について

体重が減ったと言っても喜ばしいことばかりではありません。意図して行ったダイエットやカロリーコントロールなどの結果なら問題ないのですが、中には何らかの疾患によって体重が減ってしまっている可能性もあります。
以下のようなパターンで体重が減少してきた方は一度ご相談ください。

  • 食事制限、運動といった意図的な減量をしていないのに体重が減ってきた
  • ダイエットなどをしていないのに、服が緩くなったり、ベルトが緩くなったりした
  • 普通に食事を摂っているのに体重が減ってきた
  • 食欲が落ちてあまり食べられず、体重も減ってきた

など

体重減少の原因

通常、体重は摂取するエネルギーと消費するエネルギーが等しいことで一定を保ちます。つまり、体重が減少していくメカニズムとしては、食物などから摂取したエネルビーより消費するエネルギーが多いか、逆に消費するエネルギーより摂取するエネルギーが少ないかどちらかのケースが考えられます。
ダイエットは、このメカニズムを利用して体重を落としていくのですが、意図していないのに体重が落ちる場合は、以下のような原因が考えられます。

エネルギーの摂取が消費より少なくなる原因 エネルギーの消費が摂取より多くなる原因
食欲不振 甲状腺機能亢進症
糖尿病 運動量の増加
嚥下障害  

栄養不足

栄養が不足することが、体重減少の大きな原因の一つです。食欲が無く食べられない、食べてはいても偏った食事で栄養が補給しきれない、歯周病や虫歯で上手く噛めず食べられない、嚥下障害があって飲み込めないなどが栄養不足になる大きな原因です。特に見落としがちな歯の問題も含む口腔のケアは大切です。

消化不良・吸収不良

口である程度咀嚼し、柔らかくした食物は胃で強力な酸や酵素の混ざった胃液によってドロドロに溶かされ、十二指腸で膵液や胆汁などにより脂肪などの消化しにくいものが分解されます。
そして、小腸で大部分の栄養を吸収、大腸で残りのミネラルや水分を吸収して便となって排泄されます。 この経路のどこかに障害が起こると、食物の分解・吸収の機能が上手く働かなくなり栄養が不足して体重が減少します。

代謝・内分泌異常

食物などから摂取した糖質・糖分は分解されてブドウ糖となり、血液に混じって身体中に運ばれ、身体を動かすエネルギーとして使用されます。余ったブドウ糖はグリコーゲンに変換されて肝臓や筋肉に蓄えられます。このブドウ糖の働きをコントロールするのが膵臓で作られるインスリンというホルモンです。
膵臓でインスリンの産生が障害されたり、インスリンが何らかの原因で上手く働かなくなったりすると血中にブドウ糖が溢れてしまう糖尿病になります。糖尿病になると、糖代謝が障害され食欲は亢進するのに体重が減少するという症状が起こります。その他にも頻尿になる、喉が乾く(口渇)、飲み物をたくさん飲む(多飲)といった症状も起こります。
また、腎機能や下垂体のホルモン分泌機能に異常があって起こる尿崩症は、多尿・頻尿、口渇、多飲などに伴い、体重減少が現れることもあります。 さらに甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などでもホルモン異常による体重減少が起こることもあります。 非常に稀な例ですが、副腎の髄質で起こる褐色細胞腫という希少がんの一種では、頭痛、動悸、便秘、不安などに伴って体重減少が起こることがあります。

炎症性疾患などによる
エネルギー消耗

結核や関節リウマチなどの炎症性疾患、がんの進行などによって体力を消耗し体重減少が起こります。また、喫煙やPM2.5などによって起こるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)でも、慢性的な肺の炎症によってエネルギーを上手く作ることができなくなり、体重減少が起こります。

サルコペニア・フレイル

サルコベニアは筋肉量が減少することで、筋力や身体能力が低下してしまう状態を表す用語です。またフレイルとは加齢によって身体の予備能力が低下し、急な事態などに対応できなくなる、いわゆる虚弱状態を表す用語です。 どちらも、加齢に関係して起こる現象です。人は一般的に加齢に伴いだんだん筋肉量が減少していきます。
これによってまず筋力や身体能力が低下するサルコベニアが現れ、だんだん動かなくなると不測の事態に備えるための予備能力が低下し、全体的に虚弱なフレイルの状態になります。 これによって、食欲も減衰し、体重低下が起こります。
高齢化しても、食事によるたんぱく質補給や筋力トレーニングで筋肉を維持したり、低下した筋肉量を増加させたりすることも可能です。できるだけ毎日無理のない程度で運動を行い、しっかりとバランスの良い食事を摂るように心がけましょう。

体重減少を引き起こす疾患

糖尿病

インスリンが不足したり働かなくなったりすると、血中のブドウ糖を細胞がエネルギーとして取り込むことができなくなります。そのため細胞がエネルギー不足となり体重減少が起こりやすくなります。初期にはほとんど症状がありませんので、健康診断の際の血液検査などに異常があったらすぐに受診してください。

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病など)

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、新陳代謝が亢進し過ぎてしまい、頻脈、血圧上昇、多汗、手の震えなどと共に、体力消耗による体重減少が起こりやすくなります。

うつ病

抑うつ状態や、喪失感といった症状が続き、食事をする気力が無い状態となると体重減少が起こります。

慢性膵炎

膵臓は脂肪などを分解する酵素やインスリンなどを分泌する、消化吸収とエネルギー代謝にとって重要な臓器です。膵臓で慢性の炎症を起こすことにより、これらの機能が障害され、栄養の吸収が障害されることで体重減少が起こることがあります。

膵臓がん

膵臓のがんは、初期症状がほとんどありません。進行してくると、腹痛、腰痛、背中の痛みなどの他に黄疸や食欲不振などが起こり、体重が減少してきます。早期発見が非常に難しいがんの一つです。

胆道がん

胆道は、胆のう、胆管、十二指腸乳頭部に分かれています。これらのどこにできたがんなのかによって症状は異なりますが、一般的に進行してくると、黄疸、吐き気や嘔吐、食欲の低下、倦怠感などと共に体重減少が見られます。

逆流性食道炎

胃酸を含んだ胃の内容物が食道方向へ逆流し続けることで、食道に慢性的に炎症が起こっている状態です。
みぞおちの痛み、胸やけ、胃もたれなどの症状から食欲不振となり、体重減少に繋がります。

胃・十二指腸潰瘍

胃潰瘍や十二指腸潰瘍によって、消化管壁にダメージを受けると、胃や十二指腸の機能が低下してしまい強い痛み、吐き気や嘔吐などに伴い食欲が低下し、体重が減少します。

胃がん

胃がんは初期にはほとんど自覚症状がありません。また進行してきても他の胃腸疾患の症状と同様、胃の機能低下、吐き気や嘔吐、痛みなどによって食欲の低下やがん細胞によるエネルギー消費などで体重減少が起こることがあります。

大腸がん

大腸がんも初期はほとんど自覚症状がありません。気づかないうちに進行させてしまうと、便の通り道を塞ぎ、腹部膨満感や不快感を生じ、がん細胞によるエネルギー消費などによって体重が減少していきます。

著しい体重減少は当院を受診しましょう

極端な体重減少の陰には様々な疾患が隠れている可能性があります。病的な体重減少は、ダイエットなど意識的に減量をする行動をしていないにも関わらず、6~12か月の間に4.5kg以上、または5%以上体重が減少した状態が目安になるとされています。この定義は受診の目安でもあります。
つまり、半年から1年の間で体重60kgの人が何もしていないのに3kg以上体重が落ちた場合は、お早めに専門医を受診して、何らかの疾患が無いか検査を受けた方が良いというサインです。

当院の消化器専門外来

当院では、消化器内科も主要な診療科目としており、消化器内科の専門医が、高度な内視鏡検査システムによる胃カメラ検査や大腸カメラ検査を行っております。
また腹部エコー検査など、消化管以外の臓器の疾患を発見するためのシステムも駆使して、しっかりと原因を突き止め、患者様と相談しながら適切な治療計画を立てていきます。 体重減少を伴うような様々な消化器症状でお悩みの方は、お気軽に当院にご相談ください。

当院について

いのうえ内科(内科・消化器内科・漢方内科・内視鏡)では、「会っただけでもホッとする、元気になった。」を目指しています。また、胃カメラや大腸カメラ検査では、細いカメラや鎮静剤を使用することにより、「楽だった」「また受けたい」と思っていただけるような検査・治療を行います福岡県春日市下白水北にある西鉄バス「下白水」「下白水北七丁目」バス停より徒歩約2分 / JR博多南駅 徒歩15分(JR西日本 新幹線停車駅)にあるいのうえ内科までお気軽にご相談をください。

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この記事の監修者

「いのうえ内科」は、「会っただけでもホッとする、元気になった。」と言ってもらえる、親近感が持てる診療をめざしています。 大学卒業後、師匠より「何でも診ることができる医師になれ」との教えを胸に刻み経験を積んでまいりました。心や体の不調に対して、一般的な西洋薬はもとより、漢方薬も処方しています。
西洋薬では対応できないような風邪の諸症状や心身の症状には、漢方薬が効果的であることを知り、故 福富稔明先生に師事し、漢方専門医の資格を取得しました。漢方治療では、身体の状態に合わせて治療を行っていきます。胃カメラや大腸カメラは、細いカメラや鎮静剤を使用することにより、「楽だった」「また受けたい」と思っていただけるような検査・治療を行います。
大腸カメラは、二木会というカメラ挿入法の研究会で勉強し「楽にかつ早く」挿入する技術を身に着けました。大腸ポリープを見つけた際には、希望があればその場で切除することもできます。また、大学病院では肝臓癌の治療・研究を行っておりました。肝臓のことが気になる方も是非ご相談ください。今まで培ってきた経験をもとに地域の皆さんに寄り添い、笑顔にすることができたらと思います。

院長 井上 欣哉 いのうえ きんや

資格

所属学会

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