漢方内科

便秘

便秘は、漢方薬の力を発揮しやすい症状の1つです。 便秘には、水分が吸収され過ぎて便が固くなるパターンや、直腸に溜まった便を出すための信号が弱まって便意を感じなくなってしまうパターンなどがあります。そのタイプを見極め、また痛みの有無やどこが痛むのか、ガスが溜まりやすいかなど、患者様個々人のパターンを診ながら、どの漢方薬をどのぐらいの量を処方するかなどを見極めていきます。
これに、西洋薬を併用することで、さらに効果的な治療を行うことが可能になります。 ただし、便秘は何らかの疾患の症状として起こっていることもあります。そのため、便秘という症状だけを治すことだけに専念してしまうと、思わぬ大きな疾患を見逃すことに繋がりかねません。適宜、腹部エコーや大腸カメラなどの画像検査も行っておくことが大切です。

下痢

下痢には急性下痢と慢性下痢があります。急性の下痢の多くは、食べ過ぎ飲み過ぎなどですが、中には細菌やウイルスによる感染症で下痢の症状を起こしている場合もあります。そんな時は、身体から悪いものを早く排出しようとして下痢が起こっているため、無理に下痢を止めてしまうとかえって治りが遅くなるケースもあります。
一方、慢性下痢の中には、身体に水分が多過ぎたり、冷えてしまったり、またストレスなどの緊張によって腸の機能的な障害が起こって下痢という症状になっている場合があります。このような症状の場合、漢方薬が効果を発揮します。 しかし、下痢の場合も、クローン病・潰瘍性大腸炎といった難病や大腸がんによるものなどがあり、原因をしっかりと見極めるための検査などが必要になる場合もあります。

腹痛・お腹が張る

腹痛や腹部膨満感なども漢方薬が適応になるものがあります。まずは原因となる疾患があるかどうかを調べるために、胃カメラ、大腸カメラなどの内視鏡検査や腹部超音波検査、血液検査などを行う必要があります。
その上でどんなタイミングで痛むのか、どこが痛むのか、ガスが多いか少ないかなど、様々なポイントから判断して漢方薬が適切と判断した場合に処方します。

胃痛・吐き気・お腹が
減らない、食欲が出ない

胃の様々な症状も、漢方薬の効果を発揮しやすい症状の一つです。ただし、潰瘍やがん、ピロリ菌感染が無いかどうかを内視鏡検査などでしっかりと確認してから治療を始める必要があります。
検査をしても潰瘍などの症状が見つからない場合は、胃の運動機能の低下などによって不快な胃の症状が続く機能性ディスペプシアの可能性があり、こちらも最も漢方が有効な疾患の1つです。胃の症状に関しては、西洋薬と併用することで、さらに効果を発揮します。

胸やけ・のどの詰まり

胸やけやのどの詰まりといった症状がある場合、ほとんどは胃食道逆流症（GERD）のうち、食道に炎症を認める逆流性食道炎です。しかし、そういった症状があるに関わらず、胃カメラ検査などで食道にはっきりとした炎症を認めない非びらん性胃食道逆流症（NERD）を起こしているケースもあり、その場合漢方治療が効力を発揮します。
ただしこの場合も、食道がんなどの疾患の要因が隠れていないかどうか、内視鏡検査などでしっかりと見極めておく必要があります。

消化器領域で使用される
ことのある漢方薬

• 乙字湯（おつじとう）
• 安中散（あんちゅうさん）
• 柴胡桂枝湯（さいこけいしとう）
• 半夏瀉心湯（はんげしゃしんとう）
• 五苓散（ごれいさん）
• 小半夏加茯苓飲（しょうはんげかぶくりょうとう）
• 真武湯（しんぶとう）
• 人参湯（にんじんとう）
• 大黄牡丹皮湯（だいおうぼたんぴとう）
• 半夏白朮天麻湯（はんげびゃくじゅつてんまとう）
• 補中益気湯（ほちゅうえっきとう）
• 六君子湯（りっくんしとう）
• 十全大補湯（じゅうぜんたいほとう）
• 潤腸湯（じゅんちょうとう）
• 抑肝散（よくかんさん）
• 桂枝加芍薬湯（けいしかしゃくやくとう）
• 桃核承気湯（とうかくじょうきとう）
• 防風通聖散（ぼうふうつうしょうさん）
• 帰脾湯（きひとう）
• 芍薬甘草湯（しゃくやくかんぞうとう）
• 茯苓飲（ぶくりょういん）
• 四物湯（しもつとう）
• 調胃承気湯（ちょういじょうきとう）
• 平胃散（へいいさん）
• 抑肝散加陳皮半夏（よくかんさんかちんぴはんげ）
• 大黄甘草湯（だいおうかんぞうとう）
• 小建中湯（しょうけんちゅうとう）
• 大建中湯（だいけんちゅうとう）
• 人参養栄湯（にんじんようえいとう）
• 胃苓湯（いれいとう）
• 茯苓飲合半夏厚朴湯（ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう）
• 麻子仁丸（ましにんがん）
• 桂枝加芍大黄湯（けいしかしゃくやくだいおうとう）
• 清暑益気湯（せいしょえっきとう）

など

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